陶芸作家「渡邊亜紗子」の世界 その2

渡邊さんのご紹介第2回目はマグカップ「ボタン」です。彼女の作品の中で、自分的にはもっともインパクトが大きかったシリーズでもあります。それは何よりもご覧の通り、なんとも個性的な取っ手部分の造形によります。通常の指を入れるタイプと違って、「握る」感じになるわけですがね。私も実は使ってますが、意外やこれが具合がいい!何度も作って試しての結果なのだろうな、という実感があります。渡邊さんは武蔵野美大でプラスチック工芸を習得後、陶芸の道にシフトした経歴をお持ちですが、恐らくはそんな幅広い分野の経験や人間工学などからのアイデアかもしれません。

 

なんでも、同じものは2度と作らないそうで、1個1個、次はここをこうして見よう、その次はこうしよう、というように常に新しいトライを加えているのだそうです。なのでお客様からあの時買ったものと同じものを、と注文されて困ることがあるのだとか。

 

そして、特に取っ手の部分に施された繊細な細工の見事さ、色の美しさもストロングポイントです。一つ一つの文様に収まった釉薬の、ガラスのような透明感のある色も見事です!形、色、素材使い、技法、それぞれについて、新しい取り組みをされているのに、それをさらりと語られるご本人のはんなりした雰囲気が、お若いのにすごいなあとまた感じ入ってしまったところです。

こちらはペンダント「記号」と蓋もの「独楽」のシリーズです。繊細な文様の妙が感じて頂けると思います。特に「独楽」では、底面の高台の内側まで蓋に呼応する文様が施されています。これはフォルム全体の中の文様のバランスを考えるという独自の美意識、方法論から来ているのだそうで、こんなところにも強い独自性を感じます。

 

他にも時計やボウルなども展示しております。東海地方を中心に各地のイベントに積極的に参加され、様々な賞にも輝いた実力の持ち主。昨年はブンカムラのイベントにも参加されました。論より証拠、百聞は一見!素敵に癒される渡邊さんのユニークで美しい作品に会いに、ぜひキオクハウスに遊びに来てくださいね!